人手不足が常態化する建設業界
建設業界は、長らく人手不足という構造的な課題を抱えてきました。高齢化が進む一方で、若年層の入職は減少し、現場の技能者は年々減少しています。過酷な労働環境や不安定な就労形態、安全性への懸念など、いくつもの要因が絡み合い、建設業は「絶対的に不人気な職種」とされるまでになっています。
その結果、現場技能者の人件費は急激に高騰しています。これは、同様に人手不足が深刻な介護・福祉分野(ソーシャルワーカー)と比較しても顕著です。介護職の給与単価上昇が緩やかなのに対し、建設職種は需給バランスの崩壊により、急速なコスト増に直面しています。
AIとロボティクスが現場に入る時代
このような状況下で、従来の「人に頼る」方法ではもはや限界があると私たちは考えています。そこで注目されているのが、AIとロボティクスの融合による建設現場の自動化・無人化です。
現在もすでに、ドローンによる測量、AIによる施工管理の効率化、遠隔操作型建機など、一部の現場では先進技術が導入され始めていますが、私たちはより進化した“ヒューマノイド型ロボット”の登場が、次なる生産性革命の引き金になると予測しています。
将来的には、現場の技能労働そのものをロボットが代替し、人間は設計・管理・戦略といった高度知的領域に集中できる構造になるかもしれません。
高コストを吸収できる“構造的理由”
一般的に、ロボティクス技術は高コストと言われますが、建設業界においてはこの投資が“必然”になると考えています。なぜなら、現場人材の確保が困難な今、高コストのテクノロジー投資をもってしても、生産性を確保する道を選ばざるを得ない状況にあるからです。
さらに、現場での死亡事故が多く報道されている昨今、人命のリスクに対する社会的関心はますます高まっています。人材不足や安全性の課題に直面する現場においては、人命を守るための手段としてテクノロジーに高額投資する合理性は極めて明白です。
加えて、建設業界特有の“時間的制約”という課題もあります。労働基準法の制約により、深夜作業や連続稼働が困難である中、ヒューマノイドロボットであれば24時間365日、無停止での作業も理論的には可能です。深夜帯であっても、周囲への騒音を自ら学習・抑制しながら作業を遂行するなど、環境適応性の高い施工ロボットが誕生すれば、施工スピードと柔軟性は飛躍的に向上します。
このように、建設業界は「高額でも導入すべき理由」が他産業以上に明確であり、AI×ロボティクスの導入は単なる効率化ではなく、“構造転換”の核となると考えています。
私たちのこれから
萬世建設では、時代の変化を見据え、AI・ロボティクス分野の情報収集・検証を進めています。テクノロジーが現場にもたらすインパクトは計り知れず、正しく活用すれば「人が減るほど、生産性が上がる」未来も現実のものになります。
“人に優しく、テクノロジーに強い建設会社”を目指して、私たちは新たな建設のかたちを探り続けます。